トップ > コラム一覧 > 白衣への情熱を語れ Vol.2 株式会社アプロンワールド 高橋和也さん、貞森結花さん、岸本真紀子さん

白衣への情熱を語れ

メーカー開発担当者が語る、こだわり抜いた自社製品の誕生秘話

THSで販売している多くの白衣たち。その一つひとつは、開発に携わった方々の苦労と努力の結晶であり、熱い想いが詰まっています。その気持ちごと、お客様にお届けしたい。そんな思いから、こちらではメーカーの製品企画担当者の方からお聴きした製品開発にまつわるエピソードをご紹介します。

一番は現場で着用する方の視点に立った物づくり


見えない部分まで徹底的にこだわったスクラブができるまで


元々は手術着として使われていた「スクラブ」を、医師や看護師が白衣の代わりに身に着けるようになったのは1990年代。それが病院という枠を超え、一般によく知られるようになったのは、ドラマや映画などに登場するようになったのがきっかけでした。

メディカルウェアの開発・販売を行う株式会社アプロンワールドを擁するKAZENグループは、これまでに「コウノドリ」や「コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–」など、数々の人気ドラマや映画などに自社のスクラブを提供。オリジナル製品のほか、スポーツメーカー「アディダス」との業界初のコラボ製品などを開発し、スクラブ業界を牽引してきました。

そんなKAZENが生み出すスクラブには、並々ならぬこだわりが…!
今回は、KAZENグループのウェア開発の最前線で活躍する、株式会社アプロンワールド・商品企画室の高橋和也さん、貞森結花さん、岸本真紀子さんに、人気のオリジナル製品の開発秘話を語っていただきました。

軽くてシワになりにくい
ポリエステル100%の「高機能スクラブ」シリーズは
業界初の試みだった

商品企画室 次長 高橋和也さん

▲株式会社アプロンワールド 商品企画室 次長 高橋和也さん

  • 本日お集まりいただいた高橋さん、貞森さん、岸本さんは商品企画室という部署でお仕事されていますが、具体的にはどういったことをされているのですか?
  • 高橋さん「製品の企画からデザイン、素材開発など企画業務に幅広く携わっています。ただ、私どもの姿勢として、製品を作って納品したら終わりということではなく、お客様の手元に届いた後も、しっかりとフォローさせていただいております。また、サンプルづくりの段階からお客様の声を聞いたり、社員それぞれが一番強い部分を活かしながらひとつの製品を作ることを心掛けています。」

  • 商品企画室 次長 高橋和也さん
  • 岸本さん「私はアディダスとの共同開発の担当をさせていただきながら、展示会などの広報活動もしています。」

  • 商品企画室 リーダー 岸本真紀子さん
  • 高橋さん「岸本は元ナースなので、現場を知る立場からの意見も出してもらっています。」

  • 商品企画室 次長 高橋和也さん
  • 貞森さん「私は開発を担当していて、製品の細かな仕様を決めたり、生産工場との調整を行ったりしています。」

  • 貞森さん
  • 現在はドラマや映画への衣装提供などでも有名なKAZENグループですが、いつごろから医療ユニフォームを作っていらっしゃるのでしょうか?
  • 貞森さん「元々は調理服や足袋の製作から始まりました。その後、白衣やナース服を作るようになったんです。といっても、当時は白衣といえば診療医が着る物、ナース服も綿100%のワンピースタイプのみという感じでした。最近主流のスクラブを作り始めたのは1990年代頃からです。」

  • 貞森さん
  • 高橋さん「今でこそいろいろな種類のスクラブが作られていますが、弊社が初めて作った院内スクラブは、現在『高機能スクラブ』シリーズとして展開している物です。こちらは、業界で初めてポリエステル100%の機能素材『高機能ポプリン』を使用したことでも話題になりました。」

  • 高橋さん
  • ポリエステル100%の生地を使うというのは画期的なことだったのでしょうか?
  • 高橋さん「それまで手術下衣と呼ばれていたスクラブは、綿100%の葛城素材が主流だったんです。でも、それだとシワになりやすかったり、生地自体が重く、長時間着用していると疲れる要因になっていました。それが、ポリエステル100%の高機能素材にすることで綿タッチの風合いはそのままに、シワになりにくくて軽量、さらに吸汗速乾性にすぐれているといった利点が加わりました。」

  • 高橋さん
133 高機能ポプリン(KAZEN製)

▲高機能ポプリンを使用した男女兼用スクラブ

現場の「こうだったらいいな」を備えた、
見えない部分までの徹底したこだわり

岸本さん

▲株式会社アプロンワールド 商品企画室 リーダー 岸本真紀子さん

  • 高機能スクラブは現場で働く人に求められる機能を備えているんですね。
バイアステープを使って仕上げた袖

▲バイアステープを使って仕上げた袖

貞森さん「『高機能スクラブ』シリーズはほかにも、袖の縫い合わせ部分の縫い端を『バイアステープ』という布で覆い隠す仕様にしていて、糸くずが落ちない工夫をしているんです。一見しただけではわかりづらいこだわりです。」

  • でも、現場で働く方にとっては、こうした配慮はうれしいんじゃないでしょうか。
  • 岸本さん「そうなんです。私は看護学生時代、実際に弊社の白衣を着用し、丈夫さを実感しました。ナースになってからもずっと着用しておりましたが、形くずれせず丈夫で、現場から見て『こうだったらいいな』という機能がちゃんと備わっているというイメージでした。」

  • 商品企画室 リーダー 岸本真紀子さん
  • 高橋さん「スクラブがこれだけ多様化する中、今も根強い人気を頂戴しているというのは、そういったこだわりを評価していただけているんじゃないかと思っています。」

  • 高橋さん
  • 貞森さん「ご愛用いただいている方の中には、ずっと弊社のスクラブをリピートしている方のほか、いろいろなスクラブを試して最終的に戻ってこられる方もいらっしゃるんですよ。」

  • 貞森さん
  • 新しい商品を開発する際は、現場で働く看護師さんなどにヒアリングをされるのでしょうか?
前開きのレディススクラブのポケットには、ほこりが溜まらない仕様のペン差しが!

前開きのレディススクラブのポケットには、
ほこりが溜まらない仕様のペン差しが

高橋さん「もちろんです。私どもは、現場で着用する方の視点に立った物づくりというものに徹底して取り組んでいますので、病院にもお邪魔させていただき、医療現場の方々の『生の声』を聞くようにしています。」

972 レディススクラブ半袖(前開き)(KAZEN製品)

▲現場の看護師さんの声が反映された前開きのレディススクラブ

たとえ少数派でも、
その人が快適に働けるウェアを生み出すのが
メーカーの役割

マタニティウェアの『ゆめかご』について語る高橋さん

▲2017年に新商品として発売したマタニティウェアの『ゆめかご』

  • KAZENの商品は現場の『生の声』から生み出されているんですね。
  • 高橋さん「2017年に新商品として発売したマタニティウェアの『ゆめかご』は、まさに現場の声から誕生した物です。」

  • 高橋さん
  • ナースウェアにマタニティ用があるんですか!?
  • 高橋さん「そうなんです。女性が多い職場環境において、妊娠期間でも安心して快適に働けるように、たとえ数量的に多くなくてもサポートすることがメーカーの役割だと考えております。こちらの商品は貞森が中心となって開発しました。」

  • 高橋さん
  • 貞森さん「マタニティウェアというと、それまで着ていたナース服のサイズを大きくするとか、Aラインの物でお腹を隠すといったケースが主流でした。でも、本当にそれでいいのかなと。大きくなっていくお腹をしっかり包み込み、働く妊婦さんでも快適に過ごせるようなナースウェアを作れたらと思って開発に取り組みました。」

  • 貞森さん
177 マタニティジャケット半袖(KAZEN製品)

▲マタニティウェア『ゆめかご』のジャケット

  • 具体的にはどういった点にこだわったのでしょうか?
  • 貞森さん「まず、パンツの部分は下腹部からしっかりとお腹全体を包み込むようにリブ素材を採用しています。一番お腹が出るところに切り替えをつけたという点で、特許が取れました。あと、妊婦さんは意外と脇のほうからお腹が出てきたりするんです。ですので、サイドも含めて伸縮性を持たせているほか、妊婦さんは胃もたれしやすいのでゴムの位置を胃が締め付けられないところに置いたり、腰の部分もしっかりサポートして腰痛になりにくい設計にしています。ジャケットも含めて、お腹の大きい妊婦さんならではの悩みに応えた独自の仕様になっています。」

  • 貞森さん
  • 徹底していますね。開発にも長い期間かかったのでは?
  • 貞森さん「企画から製品化まで、2年近くかかりました。そのあいだ、弊社に出産を控えた社員がいたので、彼女には妊娠6ヵ月目くらいから実際に着用してもらい、経過を記録したりしていました。そのため、身に着ければ絶対にその良さをわかっていただける物になったと自負しています。出産は一人の女性がそう何度も経験することではありませんが、だからこそマタニティライフを楽しんでもらいたい。そうしたKAZENグループの思いも詰まった製品です。」

  • 貞森さん

スポーツと医療現場の共通点から見いだした、
アディダスとのコラボで得たノウハウ

高橋さんと岸本さん
  • 御社ではオリジナル製品のほかにアディダスとのコラボ製品も手掛けていますが、スポーツメーカーとのコラボというのはメディカルウェア業界ではよくあることなのでしょうか?
  • 高橋さん「他社でこういったスポーツメーカーとの本格的なコラボが始まったのは、弊社からアディダスの製品が出て以降ですから、そういう意味ではKAZENが先駆けだと思います。」

  • 高橋さん
  • コラボするきっかけは何だったのでしょうか?
高橋さん

高橋さん「たまたま、医療現場での働き方はスポーツとの共通点が多いという話になりました。もちろんナースが50m、100mをダッシュすることはないと思いますが、日々の業務の中では立ったりしゃがんだりと、激しい動きが求められます。その点、スポーツメーカーは独自のカッティング技術をお持ちですし、元々激しい動きを伴うスポーツのために作られたウェアですから機能性にも優れています。ですから、両社の技術を合わせたらおもしろい物ができるんじゃないかということで始まりました。完成まで非常に時間はかかりましたが、やはりアディダスとのコラボシリーズならではの機能性で、お客様からもご支持をいただいています。」

  • 共同開発ならではの機能性とは?
  • 岸本さん「医療現場では最近、消毒薬などの備品をポシェットに入れて持ち歩くことが多いことから、2014年に発売した『レディスジャケット』には取り外し可能な大型ポシェットをつけました。取り外しができることで洗濯もできますし、ポシェット本体にもいくつかのポケットを設けて、小物を分類できるようにしてあります。このほか、アディダスとの製品の最大の特長というと、『ベンチレーション機能』になります。」

  • 岸本さん
SMS007 アディダスレディスジャケット半袖(KAZEN製)

▲アディダスとのコラボ製品「レディスジャケット SMS007

  • ベンチレーション機能というと?
ベンチレーション機能

▲汗をかきやすい部分にメッシュ素材を使ったベンチレーション(換気)機能

岸本さん「一言でいうと換気、通気性ですね。型によって異なるのですが、背中や肩の後ろ、ひざ裏などに切り込みを入れ、内側を『クールマックス』というメッシュ素材にすることで通気性を良くしています。というのも、熱がこもって熱いというのは、どの現場でも必ず出てくる意見で。それが、アディダスのノウハウを取り入れることで解決できました。」

何より現場で着用する人のことを思って

岸本さん
  • どの製品からも、KAZENグループの現場で働く方への思いが伝わってきますね。
小児科で重宝するアンパンマンのキャラクターウェアは、キャラクターの絵柄の位置などに遊び心がたっぷり!

▲小児科で重宝するアンパンマンのキャラクターウェアは、キャラクターの絵柄の位置などに遊び心がたっぷり!

  • 岸本さん「ありがとうございます。私たちとしては、見た目で商品を購入するのではなく、やはり命と向き合うこともある医療現場の方たちが、ストレスを感じることなく作業に集中できるようなユニフォームの提案をしたいという気持ちで開発に取り組んでいます。ですから、ポケットの仕様などにもさまざまな工夫を凝らしているのですが、それは決して『こう使ってください』と決め付けるのではなく、『使う人によっていろんな使い方ができます』といったような、使う方が発想しやすいアプローチを常に考えています。」

  • 商品企画室 リーダー 岸本真紀子さん
  • 高橋さん「現場を取り巻く環境も、日々変わってきています。最近だと、例えばPHSを廃止してスマートフォンに変える病院様が増えていたり。そうすると、ポケットのサイズも変わりますし、つける位置も考え直さなければいけません。そういうちょっとした変化が、製品の根本的な考えを左右することもあるんです。」

  • 高橋さん
  • スクラブはまだまだ進化していくんですね。
  • 高橋さん「そうですね。お客様に満足いただける良い商品を提供したいという熱い想いと共に、現在も開発を続けています。どんなときも現場で実際に着用してくださる方のことを思いながら、一つひとついい物を作っていきたいです。」

  • 高橋さん
  • KAZEN
  • KAZENグループ
    株式会社アプロンワールド
  • 1952年に創業され、白衣ブランドとして展開されている「KAZEN(カゼン)」。病院・介護施設をはじめ、レストランや食品工場など、さまざまな現場で活躍するプロフェッショナルのためのユニフォームを製造・販売しています。さらには、何十年と変わらずに定番化している白衣はもとより、数々の独自ブランドを展開中。KAZENの白衣は、「コード・ブルー」「チーム・バチスタ」「医龍」「ナースのお仕事」といったテレビドラマなどでも使われています。

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